現在の日本における食料自給率は約39%と、他国からみるとその数値は最低水準を下回り、食のほとんどを輸入に頼っているのが現状です。中でも人件費や輸送費が安価なため隣国である中国からの輸入に頼っていましたが、使用禁止薬品が検出されるなどのずさんな管理体制が明るみとなり、さらに中間企業の介入による複雑化された卸業態により、産地の偽装など、食の安全が問質される事件が後を絶ちませんでした。
また環境問題に目を向けると、地球温暖化による今後の地球全体に及ぼす被害は深刻であり、20世紀において日本の平均気温は1℃、東京では2.9℃の上昇が記録されています。このまま推移すれば今後数十年で日本の平均気温は4℃上昇し、海面上昇に加えて生態系の変化に伴い、今まで普通に収穫されていた農作物及び畜水産物が収穫できなくなり、物価は高騰、さらに他国でも同じ状況の中、日本に食物が輸入されない事態が予想され、国民が飢餓で苦しむことが考えられます。
今、我が国の食料自給率を上げ、今後の環境変化に対応でき得る土壌を作ることが、日本における最重要課題のひとつと考えられます。
では生産拡大を図るための土地がないのかといえばそうではなく、現在全国で39万fもの休耕農地(耕作放棄地)が点在します。日本の各地生産農家を分析してみると、これらの理由として、平均年齢65歳を超える農家の実情と、後継者や担い手の不足などにより生産ができない現状も浮き彫りとなります。さらに日本のバブル経済崩壊後、増加していた失業率も平成15年をピークとして減少傾向にあった我が国ではありますが、企業における雇用対応は終身雇用よりも契約社員としての登用が主となり、契約打切りに不安な日々を送る若年層者が数多く見受けられました。また青年海外協力隊などで海外就労経験を積み、スキルをもって帰国した若年層者にも雇用の機会が乏しく、企業とのミスマッチも重なり、就職を希望しつつ待機せざる得ない現状も続いています。そして昨年のアメリカ金融市場の崩壊に端を発する世界的恐慌が到来し、失業率の上昇がますます深刻化する本年、住む所さえままならない失業者が増えるなど、厳しい現状が続くことが予想されます。経済の建て直しを図るためにも、活発な雇用促進をしなければ、我が国は崩壊の道へと向かいます。
未来の子どもたちに夢を残すことは私たち現代(いま)を生きる世代の責任です。
戦後の復興を目指し、世界の経済大国とも呼ばれ目覚ましいほどの発展を遂げた我が国日本。しかし、物質的・経済的な豊かさを求めた代償として様々なものを失い、現在問題が多発しています。それらの問題を解決するためには、今この世代を生きている私たちがその主体者であることに気づき、自らが社会の一員として携わらなければなりません。
我が国日本は海に囲まれ四季折々の風景をなす山河、それらを大切にした食などの文化や歴史、勤勉で奥ゆかしくさらに寛容を併せ持つ国民性、そこから生まれた技術や独自の発想に見られる知恵など、誇れるものがたくさんあります。様々な問題解決の原動力(源)には、その一員であることに誇りを持てることが大切です。
以上のような問題意識と志のもと、昨年末、生産地域において担い手不足で困窮する生産農家と雇用希望者とのマッチング事業を企画するに至り、地元地区との連携により、一地域との受け入れ態勢が整うこととなりました。本組織が追及する「食と職の安全安心」を推進する上で、都心部と生産地区との連携の在り方も今後の課題となります。
未来の子供たちへ財産を残すべく、自然との共生をテーマに我が国の誇れる山紫水明・白砂青松の自然と、そこから生まれた国民生活の基盤でもある食に関わる文化を守り、特に国内需要の拡大へ向け、安全で安心に暮らすことのできる、さらに誇れる元気で強い国日本へ向けた原動力となる運動を幅広く展開するため、安定的、継続的な運営体制を持ち、社会的責任を負うことのできる法人組織が必要であると考え、法人格を取得することといたしました。
2009年3月11日
代表者
青山 貴洋